理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 173
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骨・関節系理学療法
群馬県における高校野球メディカルサポート
猪股 伸晃桜井 進一福原 隆志金城 拓人中川 和昌小川 美由紀中澤 理恵山路 雄彦坂本 雅昭富澤 渉
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抄録

【はじめに】
我々は平成14年度の全国高校野球選手権群馬県大会(以下夏季大会)よりメディカルサポート(以下サポート)を開始した.県高野連との連携により平成18年度からは春季関東高校野球群馬県予選(以下春季大会),秋季関東地区高校野球大会群馬県予選(以下秋季大会)においてもサポートを開始した.さらに平成19年度には日本・ブラジル親善高校野球試合(以下日伯親善)でのサポートを実施し,第89回夏季大会を含め年間4大会でのサポートを実施した.
【方法】
サポートを行うため,群馬県スポーツリハビリテーション研究会を通じ,本県内の理学療法士(以下:PT)に参加を募った.平成19年度の春季・秋季大会は準々決勝以降の試合,夏季大会全試合,日伯親善は群馬選抜対ブラジル選抜戦においてサポートを実施した.サポート内容は,試合前のコンディショニングおよび試合中のアクシデントに対する対応であり,夏季大会の4回戦以降の投手および野手に対してはクーリングダウン(軽運動・ストレッチング)を行った.また,4大会のうち夏季大会1・2回戦以外の試合には医師が常駐しており,連携をはかりながら対応を行った.
夏季大会終了後に参加PTを対象に,サポートに関するアンケートを通じ反省点・改善点について検討を行いサポート体制の充実化を図った.
【結果】
4大会におけるサポートは,延べ23日間で,36会場,81試合にわたって実施された.サポートに参加したPTは延べ106名であった.対応は春季大会18件,夏季大会89件,秋季大会14件であり,延べ48名に98件の対応を行った.日伯親善での対応はなかった.対応内容別件数ではストレッチングが20件,アイシングが19件,ケア方法の指導18件,以下テーピング,傷害確認の順であった.その他として試合後の投手クーリングダウン依頼が11件であった.
夏季大会後のアンケート結果を受け,秋季大会からは試合前の対戦チームの打ち合わせに同席し,傷害を有する選手の把握とサポート内容に関しての説明を行った.
【考察】
打ち合わせ同席によって試合前・試合中の対応だけでなく,試合後の対応が認められるようになった.これは現場での応急処置的な対応だけではなく,日常的に取り組める身体のケア方法について,クーリングダウン等を通して指導する機会が増えたことを示しており,傷害予防を目的としたサポート要請といえる.すなわち選手・指導者のメディカルサポートに対する認識が変化したと考える.
我々サポートスタッフには現場での対応能力だけでなく,指導や説明に関する十分な能力が求められる.また,試合期間に限らず選手を継続してフォローできる環境づくりが必要であると考える.

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© 2008 日本理学療法士協会
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