日本地球化学会年会要旨集
2008年度日本地球化学会第55回年会講演要旨集
セッションID: 1D02 07-02
会議情報
揮発性成分を理解することで地球内部の現象がよりよくわかる
プレート沈み込みによるマントルへのホウ素輸送:含ダイアモンド電気石のホウ素同位体組成とその意義
*太田 努小林 桂中村 栄三
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

沈み込み帯からマントル深部へ物質が移送される際,その化学組成は,共存する流体との間での元素分配を経て変化するが,その化学進化の過程は必ずしもよくわかっていない.本研究では,沈み込む地殻物質に特徴的であり,かつ流体が関与する過程での移動性が高い元素(ホウ素)に注目し,コクチェタフ超高圧変成岩に産する電気石のホウ素同位体組成を検討した.
コクチェタフ産の電気石には,より低変成度の泥質変成岩に産するNa電気石と,最も変成度が高い含ダイアモンド岩の産地にのみ産するK電気石がある.前者のホウ素同位体組成が10Bに富んでいるのに対して,後者のそれは11Bに富んでいる.地殻物質のみをホウ素の貯蔵庫とする従来のモデルでは,K電気石のホウ素同位体組成を説明できない.そこで,そのホウ素同位体組成が,沈み込んだリソスフェリックマントル中の蛇紋石に由来するという新たなモデルを提案する.

著者関連情報
© 2008 日本地球化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top