地球のマントル内部の水は、岩石の融点を下げたり、岩石を軟化させる効果を持つので、マントルの進化およびダイナミクスにおいて重要な役割を果たしている可能性がある。多くの研究によって、水はマントル鉱物中に貯えうることが指摘されてきているが、マントルに実際どの程度の水が存在しているかは、それらの研究からは分からない。地球電磁気学的観測から得られるマントルの電気伝導度構造は、マントルの熱構造や組成に制約を与えることができる。特に電気伝導度は無水鉱物中に少量含まれる水に非常に敏感であると考えられる。つまり、深さの関数としてマントルを構成する鉱物の電気伝導度の知識は、マントルの水の量を見積もる上で、非常に有効な手段であると考えられる。本講演では、水を含むマントル鉱物の高温高圧下その場電気伝導度測定結果に基づきマントルの水の量とその役割を考察する。