抄録
土壌中や底質中におけるSbの主なホスト相である鉄水酸化物とSb(V)との間の平衡吸着実験を行い、河川水の取りうるpH範囲における同位体分別の程度を把握した。その結果、溶存Sbの同位体比は吸着相のそれよりも重い同位体にわずかに富むことがわかった。本講演では、アンチモン硫化物鉱石を産出した愛媛県市之川鉱山のある加茂川-市之川水系において河川水を採取し、SbをTCF(Thiol Cotton Fiber)を詰めたイオン交換カラムで分離、その同位体比変動の大きさについて報告、および分別機構について考察する予定である。