日本地球化学会年会要旨集
2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
セッションID: 1A22
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セッション2 古気候・古環境解析の地球化学
モンゴルの白亜系湖成層中に見られる堆積リズムの起源:海洋無酸素事変時の陸域環境変動解明に向けて
*長谷川 精安藤 寿男長谷川 卓太田 亨山本 正伸長谷部 徳子Li GangIchinnorov Niiden
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抄録

本研究はモンゴルのアプチアン期湖成層(シネフダグ層)を対象に,OAE1a時の陸域環境変動の解明を試みている.シネフダグ湖成層は,頁岩とドロマイトのリズミカルな互層(数10cm,数m,10~20 mサイクル)からなる.本研究では,その堆積メカニズムを解明するため,堆積相解析,鉱物組成分析,有機地球化学分析を行った.C/N比およびロックエバル分析の結果,シネフダグ湖成層の有機物は主に湖内の藻類に由来することが示唆された.またドロマイト層準では藻類やバクテリアが卓越するのに対し,頁岩層準では藻類に加えて湖岸からの高等植物起源有機物の流入も寄与していたことが示唆された.これらの結果と堆積相解析から,シネフダグ湖成層に見られる頁岩とドロマイトのリズミカルな互層(数千年,数万年,数10万年サイクルに相当)は,地球軌道要素の変動に起因した湖水位の変動,すなわち湿潤-乾燥といった気候変動に対応している可能性が示唆された.

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© 2011 日本地球化学会
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