日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2010年年会
セッションID: R4-03
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R4:変成岩及びマグマプロセス
三波川帯徳島県高越地域に産するエクロジャイト中に見られるザクロ石の組成累帯構造について
*土谷 成輝平島 崇男
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抄録

三波川帯徳島県高越地域の藍閃石エクロジャイト(KT23)から三種類の組成累帯構造を示すザクロ石を見出した.タイプ1は細粒(直径約100μm)自形結晶で,Mn成分は釣鐘型組成累帯構造を示す.中心部にチリ状の包有物を多く含む.タイプ2は比較的粗粒(直径約1,000μm)自形結晶で,Mn成分は釣鐘型組成累帯構造を示す.Mnに富む中心部の包有物は主として石英であり,外縁部にのみオンファス輝石包有物が見られる.タイプ3は比較的粗粒(直径約1,000μm)他形結晶で,組成累帯構造はほとんど示さない.その組成はタイプ1及び2の外縁部とほぼ一致し,結晶全体にオンファス輝石包有物を含む.タイプ1と2は粒径が異なるにも関わらず組成累帯構造が相似型を示す.母岩は赤褐色層と濃緑色層の互層からなり,タイプ1は赤褐色層に,タイプ2と3は濃緑色層に存在する.上記のことから,藍閃石エクロジャイト(KT23)が累進変成作用を受ける過程で,比較的低温の時にタイプ1と2のザクロ石のMnに富む中心部が核形成し,エクロジャイト相の最盛期まで結晶成長が続いたが,タイプ3のザクロ石はエクロジャイト相の最盛期に核形成と結晶成長が起こったと考えられる.

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