オストワルド段階則に従う結晶形成過程に関する一般的理論を構築したうえで、天然に見られる雪の砲弾集合の作製実験を行った。一般的な理論的考察の結果、高い過飽和度の下では準安定相が核形成し、結晶成長に伴って過飽和度が減少すると、準安定相の上に安定相が核形成・成長しうることが連続的に説明できた。得られた条件をもとに、西堀榮三郎記念探検の殿堂(滋賀県東近江市)の低温室内で雪の砲弾集合結晶の作製に取り組んだ。質量分析計の試料導入に使われるネブライザーとスプレーチャンバーを用いて微小な水滴をつくり、凍結させた。これを空中で成長させた後回収し、顕微鏡観察を行った。その結果、特定の条件下で天然の砲弾集合結晶の再現に初めて成功した。