本論文では組織学習において有効にエージェントの内部モデルを評価する組織学習指針を提案する.はじめに組織学習における問題をエージェントベースモデルで記述して解決案を検討するためのフレームワークを開発し,エージェントベース組織サイバネティクスと名付けた.次にこのフレームワークにおけるエージェントの内部モデル評価の典型的問題として,(1)環境のスキャニング,(2)組織政策決定,(3)調整,(4)タスク解決の4つに注目した.これらの問題に対して,それぞれいくつかの指針を考え,さまざまな状況についてそれらの有効性を比較・検討した.結果から,組織パフォーマンスに基づいた内部モデル評価は全ての問題において高い組織パフォーマンスを実現するが,必ずしも正しい内部モデルの実現を保証するわけではないことが明らかになった.