行動医学研究
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大学生の睡眠習慣に対する介入とセルフ・エフィカシーの般化についての検討
原田 和弘平井 啓荒井 弘和岡 浩一朗中村 好男
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2009 年 14 巻 1 号 p. 21-29

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抄録

ある状況における行動に対して形成されたセルフ・エフィカシーは、その状況を超えて、他のセルフ・エフィカシーにも般化すると言われている。しかし、セルフ・エフィカシーの般化を実証的に検討した研究はほとんど報告されていない。そこで本研究では、大学生の睡眠習慣に対する介入による、起床に関するセルフ・エフィカシーの向上が、他の健康行動に関するセルフ・エフィカシーを高めるかどうかを検討した。大学生20名を介入群と対照群に無作為に割り付け、睡眠日誌への記入による睡眠習慣の測定、ライフコーダーEXの装着による身体活動量の測定、および質問紙による心理変数の測定を3週間行った。3週のうち、初めの1週間をベースライン期間、残りの2週間を介入期間とした。介入内容は、セルフ・エフィカシーを高める情報源に基づき、平日の平均起床時間よりも1時間早く起きること、目標の明記、成功1回につき200円の報酬、積極的評価、および気分状態の確認であった。repeated ANOVAを行った結果、起床に関する自己調整セルフ・エフィカシーに関して、時間の主効果が認められた(F (2,36)=19.15, p<.01)。しかし、他の健康行動に関するセルフ・エフィカシーについては、時間の主効果、および群×時間の交互作用は認められなかった。以上より、起床に関するセルフ・エフィカシーが両群とも高められたものの、他の健康行動に関するセルフ・エフィカシーは高められなかったことから、セルフ・エフィカシーの般化は明らかとはなかった。

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© 2009 日本行動医学会
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