日本公衆衛生雑誌
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原著
過体重・肥満成人における運動と食習慣の改善による体重減少を目的とした地域保健プログラムの有効性
江川 賢一種田 行男荒尾 孝松月 弘恵白子 みゆき葛西 和可子
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2007 年 54 巻 12 号 p. 847-856

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抄録

目的 基本健康診査受診者で過体重および肥満者の運動と食習慣改善による体重減少を目的として,市町村事業を活用した地域保健プログラムの有効性を非ランダム化並行群比較試験により検証する。
方法 2002年度に東京都あきる野市が実施した市民健康診査受診者のうち,65歳以下かつ Body Mass Index(BMI)24.2以上の者全員(1,115人)を研究対象とした。全員にダイレクトメールを送付して募集した。対象者の希望に応じて,9 か月間の減量コース(介入群)に46人が,1 回のみの事後指導コース(対照群)に50人がそれぞれ登録した。2002年11月から2003年 7 月のプログラム期間中に中断あるいは追跡不能となった者を除く76人(男性 9 人,女性67人)を解析対象とした。介入群には月 1 回,1 回 2 時間,合計 9 回の健康生活教室を開催し,行動変容を促進するための個別支援プログラムとプログラム終了後の継続のための地域支援プログラムを提供した。対照群には健診結果に基づく従来型の保健指導を実施した。
結果 介入前特性は女性の年齢および身長を除き群間差は認められなかった。介入群の BMI は介入前平均27.2(標準偏差=2.8)kg・m−2 から介入後25.3(3.1)kg・m−2 に減少した。対照群では介入前26.4(1.7)kg・m−2 から介入後26.1(1.7)kg・m−2 に減少した。反復測定分散分析により,有意な時点×群の交互作用が認められ,性および年齢を調整しても有意であった。運動行動ステージの実行期および維持期の割合は,介入群では介入前後で増加(31%→60%)したが,対照群では変化はなかった(45%→48%)。食生活行動ステージでも同様に,介入群では増加(24%→80%)し,対照群では変化はなかった(29%→26%)。
結論 市町村事業を活用した地域保健プログラムは,過体重および肥満者の運動および食生活行動変容を促進し,体重を減少させる有効性が示唆された。

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© 2007 日本公衆衛生学会
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