日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
悪寒戦慄を伴う高熱,全身性皮疹で来院した日本紅斑熱の1例
猪熊 孝実長谷 敦子泉野 浩生山野 修平田島 吾郎平尾 朋仁山下 和範山梨 啓友齊藤 信夫田﨑 修
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2014 年 17 巻 3 号 p. 481-485

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抄録

症例:30代の男性。8月上旬,悪寒戦慄を伴う発熱,全身性皮疹が出現し当院を受診。来院時,意識清明,呼吸数18回/ 分,心拍数73回/ 分,血圧127/71mmHg,腋窩温38.1度。体幹部から手掌,足底に至るまで径10mm以下の紅斑が散在。掻痒感なく,刺し口を認めなかった。来院時血液検査所見ではWBC4,900/μl,CRP1.29mg/dl,血小板11.9万/μl,AST60IU/l,ALT51IU/l。血液培養,尿培養では菌を同定できなかった。39度以上の発熱,皮疹が持続した第4病日にリケッチア感染症を疑い,ミノサイクリンの点滴投与を開始した。翌日より解熱を認め,第9病日に軽快退院となった。約3週間後のペア血清で日本紅斑熱に対する抗体が上昇しており,日本紅斑熱と診断した。結語:高熱と全身性紅斑の原因として日本紅斑熱を念頭におき,診断が確定する前に時期を逸することなく抗菌薬投与を開始することが肝要である。

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© 2014 日本臨床救急医学会
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