2014 年 49 巻 3 号 p. 801-806
近年、多くの地方都市で中心市街地の衰退が問題視されている。また、既存の商店街を中心とした商業エリアを有しながら、再開発によって新たな商業エリアが形成され、複数の商業エリアを有するという都市構造の変化が生じている。そこで、本研究では、岡山県岡山市の中心市街地内の二つの商業エリアに着目して、来街者の回遊行動を来街者調査により把握すると同時に、発生要因を二項ロジスティック回帰分析により明らかにした。得られた主要な結果は以下のとおりである。1)岡山市中心部の「岡山駅エリア」または「既存商店街エリア」を訪れた来街者のうち、エリア間回遊する来街者は約21%である。また、エリア間の回遊行動には、年齢や市街地内の交通手段、来街頻度、同伴者などが影響している。2)最初にどちらのエリアに立ち寄るかで、エリア間回遊する来街者の特性に大きな差異が見られた。これは、エリア間回遊を促す際に、地域性に合わせた施策が効果的であることを示唆している。3)各エリアを起点とする回遊行動には、ターゲットとする年齢層や交通利便性が影響する。