2014 年 49 巻 3 号 p. 843-848
土壌汚染の課題を抱えるブラウンフィールドの再生は、土地利用転換が進む先進国共通の課題だ。米国では、連邦や州が法制度や補助金を含む多様な公的支援を行い、土地の再生を促してきた。本研究は、公的支援を活用したマサチューセッツ州Lowell市の20年間のブラウンフィールド再生の取組を分析した。市役所は、市域の土壌汚染の概略を把握後、ダウンタウン周縁部に優先取組地区を定め、再生計画を立案、BF補助金を含む様々な公的支援を活用して計画を推進した。地区内では、再生計画に基いて、歩行者空間を中心とする公共空間の改良と、戦略的な位置に公的支援を活用して先導事業を実施することによって、民間事業者によるブラウンフィールド再生への投資を誘導し、地区全体の再生を進めた。