都市計画論文集
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南海トラフ巨大地震を想定した津波避難における自動車利用意向とその動機及び抑制可能性
佐々木 麻衣氏原 岳人阿部 宏史鈴木 理恵
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2014 年 49 巻 3 号 p. 861-866

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抄録

東日本大震災以降、津波避難時の自動車利用について、国や地方自治体では様々な議論がなされてきた。そこで、本研究では、南海トラフの巨大地震を想定した津波避難時の自動車利用意向とその動機、さらに、各種政策の抑制可能性に着目し、岡山市沿岸部居住者を対象にアンケート調査を実施した。得られた調査結果を基に、避難時の自動車利用意向動機からクラスター分析を用いた類型化及び統計的検定を行うことで、自動車利用意向動機特性を明らかにするとともに、各種政策の抑制可能性の検討を行った。得られた主要な結果は以下のとおりである。1)南海トラフの巨大地震を想定した場合、約半数の住民が自動車での避難を想定し、日常的に自動車を利用する人や、世帯人数が多い世帯、要援護者を有する世帯ほど、その可能性が高まる。2)単身世帯や小家族は、政策による徒歩避難転換可能性が高い一方、ファミリー層や三世代家族等では、その効果は低い。3)要援護者支援体制の強化による効果は、要援護者のタイプにより異なり、高齢者の場合には、高い徒歩避難転換可能性が期待できるわけではない。

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© 2014 公益社団法人 日本都市計画学会
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