2013 年 13 巻 p. 100-106
企業は人材を育成するためにさまざまな手法を駆使し,企業業績に貢献しようとする。中小企業もその例外ではないが,中小企業はOJTの実施に積極的であるものの,Off-JTの実施に消極的であることが多い。その理由は,中小企業にとってOff-JTは費用や時間面で負担が大きいからである。それゆえ中小企業は比較的負担の少ないOJTを選択する。本論では企業の人材育成手法に関する議論を整理し,中小企業のニーズに見合う人材育成,特に中小企業のOJTとの組み合わせに適切なOff-JTを考察する。中小企業にOff-JTを積極的に提供しているトラック協会と中小企業大学校の中心的研修内容を比較し診断し,この診断結果から中小企業のニーズに見合う人材育成の一つとして,中小企業のOJTと組み合わせに適切な,具体的かつ特殊な能力を身につける企業外Off-JTの内容を検討し,本論の結論にしたい。