日本臨床外科学会雑誌
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症例
側頸部嚢胞性腫瘤として発見された異所性腺腫様甲状腺腫の1例
鳩野 みなみ枝園 忠彦田中 健大土井原 博義
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2014 年 75 巻 11 号 p. 2971-2975

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抄録

症例は41歳,女性.左側頸部腫大を自覚し近医を受診,頸部エコーで左側頸部嚢胞を認めた.フォロー中に増大傾向を認め,当科紹介となった.頸部エコーで,甲状腺腺外に境界明瞭で内部無エコーの嚢胞性病変を認めた.原発不明の側頸部腫瘍として腫瘍摘出術を施行.腫瘍は,左内頸静脈外側に接するように存在し,容易に剥離できた.咽頭方向には索状物が連続していたが,甲状腺や迷走神経,頸神経ワナとの連続は認めなかった.摘出した嚢胞は5cm大で,表面平滑,暗赤色の液体内容を含んでおり,透光性良好であった.病理組織診断は,嚢胞壁内と壁在結節に異形成に乏しい甲状腺濾胞の集簇を認め,異所性腺腫様甲状腺腫であった.頸部腫瘍には正中・側頸嚢胞や異所性甲状腺,甲状腺乳頭癌のリンパ節転移などがある.治療方針を決める上で,悪性の可能性を十分検討することが重要であり,穿刺では再発することもあることから,外科的摘出が望ましいと考えられる.

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