The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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原著
視床出血による記憶障害の検討
福田 直曽田 剛史森戸 知宏田中 遼手島 啓幾北原 功雄石川 誠
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2014 年 51 巻 11 号 p. 709-715

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抄録
目的:視床出血による記憶障害に関しては,前核,背内側核出血例や,脳室穿破例に多く,脳室穿破による記憶障害は背内側核の障害を原因としている報告が多い.回復期リハビリテーション病棟に入退院した亜急性期視床出血の記憶障害に関して検討した.方法:50例を対象とし,記憶に関しては入退院時のFIMの記憶項目で検討した.結果・考察:本研究では背内側核出血が記憶障害をきたしやすい傾向はなく後外側核出血と同等であった.後外側核出血では30 例中18 例で脳室穿破しており,脳室穿破した症例で記憶障害が高度であった.背内側核出血は6 例中5 例と高頻度に脳室穿破していた.脳室穿破した後外側核出血と背内側核出血の比較でも記憶障害は同等であった.これらの結果と,視床出血による記憶障害がエピソード記憶障害であることから,脳室穿破症例の記憶障害の原因は,情動記憶に関与するYakovlev回路の一部である背内側核障害に起因したものではなく,脳室穿破したことによる側脳室とモンロー孔周囲のPapez回路への影響が主体ではないかと思われた.
引用文献 (17)
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© 2014 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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