抄録
セツキシマブは頭頸部癌に対するEGFRを標的とした分子標的治療薬である。近年,セツキシマブによるアナフィラキシーの原因がgalactose-α-1, 3-galactose(α-Gal)に対する抗糖鎖抗体であるとの報告がなされた。α-Gal糖鎖はウシなどの哺乳類に存在するため,牛肉アレルギーとの関連性が指摘されており,マダニ咬傷によるα-Gal糖鎖の感作も報告されている。当科で2013年1月から12月までにセツキシマブ治療を行った頭頸部癌症例17例におけるinfusion reaction (IR)に関して,牛肉,豚肉,鶏肉,α-Galに対する特異的IgEの血清学的検討に加え,問診によるマダニ咬傷有無について検討を行った。IRは4例に認められ,3例では牛肉,豚肉,鶏肉,又はα-Galのいずれかに対する特異的IgE高値が認められた。α-Gal糖鎖が原因となって引き起こされたセツキシマブアレルギーであった可能性が示唆された。