2014 年 70 巻 2 号 p. I_195-I_202
本研究では,VR技術を用いた道路交通騒音評価システムの構築を目的とする.本騒音評価システムの特徴は,VR空間の中に道路およびその周辺環境を再現し,走行自動車からの発生騒音の伝播をリアルタイムに数値シミュレーションし,その結果を音としてユーザーに提示することである.視覚情報と聴覚情報は同期しているため,VR空間内で直感的な現象の把握や評価が可能である.本システムを自動車が行き交う複雑な混合交通に適用するため,多数の移動音源に対応したAmbisonicsによる立体音響システムの構築,実測に基づく音源データの利用などシミュレーションの精緻化と現実感の向上を図った.本論文は,この道路交通騒音評価システムの構築について述べるともに,複雑な音場,特に混合交通への適用性を検討した結果を示す.