2014 年 70 巻 2 号 p. I_81-I_89
近年,鋼矢板を用いた農業用開水路の早期腐食に伴う耐久性低下が技術的問題となっている.本報では,既設鋼矢板にコンクリート被覆を施した複合材の曲げ載荷時の力学特性評価を試みた結果を報告する.検討にはAE法とデジタル画像相関法(DICM)を用いた.試験体は,既設鋼矢板,コンクリートおよびプレキャストパネルの三層で構成されている.検討の結果,試験体の変形挙動は,AEやDICMの試験パラメータを用いることにより評価可能であることが明らかになった.鋼矢板‐コンクリート複合材の変形挙動は,鋼矢板の凸凹形状に起因すると考えられるねじれ現象と密接に関連していることが示唆された.