2014 年 70 巻 2 号 p. I_649-I_658
東北地方太平洋沖地震に伴う津波により,多くの土木・建築構造物が崩壊した.今後危惧されている巨大津波が発生する前に,沿岸地域の防災・減災技術の再検討を行なう必要性が高まっている.このような実状を踏まえて,現在,迅速な避難を困難とする人々の一時的な避難のための施設として,津波避難ビルの選定・指定が進められている.構造物に作用する津波の影響は,津波そのものの流体力に加え,漂流物の衝突,基礎地盤の洗掘,あるいは浮力の影響などを複合的に判断し安全性を議論することが望ましい.
本研究では,その第一段階として,避難ビルに作用する津波流体力の評価のみに焦点をあてた基礎検討を行った.数値解析より得られた結果と経験的な既往の設計式と比較を通して,設計時に数値解析を併用する必要性と有効性を議論した.