2015 年 104 巻 2 号 p. 314-322
肺胞蛋白症は末梢気道内にサーファクタント由来の不溶性物質が異常に貯留する疾患であり,進行すると呼吸不全を呈する.病因により,自己免疫性,続発性,遺伝性に分類される.自己免疫性肺胞蛋白症は患者に豊富に存在する抗顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony stimulating factor:GM-CSF)に対する自己抗体(以下,GM-CSF自己抗体)が病因である.標準療法は全身麻酔下での肺胞洗浄であるが,近年,GM-CSF吸入療法の有効性が示唆されている.続発性肺胞蛋白症のおよそ8割は,血液疾患に続発する.中でも骨髄異形成症候群によるものが多い.治療は原疾患の治療に準ずる.遺伝性肺胞蛋白症では,近年GM-CSF受容体の変異が報告された.細胞治療,遺伝子治療の開発が進められている.