2013 年 67 巻 1 号 p. 38-45
本研究では、普通ポルトランドセメント(OPC)とケイ石微粉末および、製鋼スラグ等の産業副産物に含有するCa-Mg-Si系材料を用い、水中養生およびオートクレーブ(AC)養生を行った供試体の硫酸塩抵抗性を、反応生成物や結晶構造と関連付けて考察し、耐硫酸塩性に優れた高耐久コンクリートの材料設計の提案を目的とし検討を行った。その結果、水中養生では、OPCをCa-Mg-Si系材料により40%置換することで硫酸塩抵抗性の向上が認められた。AC養生では、Ca-Mg-Si系材料の混和のみによって更に硫酸塩抵抗性が向上した。これは、Ca-Mg-Si系材料の混和とAC養生によって供試体中に化学的安定性を有するトバモライトや、トバモライトと同様のSi構造を有する化合物が生成したためと考察した。