小児歯科学雑誌
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総説
飽食ホルモン・レプチンによる甘味感受性の抑制と食調節
中村 由紀
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2010 年 48 巻 4 号 p. 505-510

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抄録

レプチンは脂肪細胞から分泌される飽食因子であり,主に視床下部に存在するレプチン受容体(ObR)を介して摂食抑制やエネルギー消費亢進に関与し,最終的に体重減少を誘導する肥満抑制ホルモンとして知られている。著者らはこれまでにマウスとヒトを用いた研究から,この肥満抑制ホルモン・レプチンが末梢の甘味受容細胞に作用して,甘味感受性を抑制することを明らかにしてきた。また,甘味受容体は味細胞のみならず腸管や膵臓にも発現していることも明らかになってきている。これらのことから,レプチンは,食欲中枢のみならず,末梢の味覚器(腸管・膵臓)にも作用し甘味感受性を調節することにより,体内エネルギーバランスの維持に寄与している可能性が示唆された。本稿では,レプチンによる味覚感受性の調節システムについてこれまでの著者らの研究を中心に,肥満・糖尿病との関連について考察する。

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© 2010 日本小児歯科学会
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