小児歯科学雑誌
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原著
小児歯科治療における歯科用局所麻酔剤 スキャンドネストの臨床的評価
他局所麻酔剤との比較
後藤 早智茂木 瑞穂薮下 綾子三輪 全三髙木 裕三
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2012 年 50 巻 3 号 p. 193-201

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抄録

歯科用局所麻酔剤スキャンドネスト(3%メピバカイン塩酸塩製剤)は,血管収縮薬,防腐剤や酸化防止剤等の添加物が無配合,短時間作用型という特徴を持つことから小児歯科治療において有用であると考えられるが,小児に対しての国内での使用成績の報告は少ない。そこで,本研究では,小児歯科治療における本剤の臨床的有用性を検討した。対象は東京医科歯科大学歯学部附属病院小児歯科外来で局所麻酔下にて窩洞形成や抜髄等の歯科治療を行った148 症例で,術者および患児にアンケート調査を行った。局所麻酔剤はスキャンドネスト,シタネスト,シタネスト-オクタプレシン,キシロカイン,オーラ注の5 種類から,術者の判断で選択し,使用した。その調査結果では,麻酔効果および処置中の痛みにおいて,薬剤間による有意差は認められなかった。また,薬剤の種類と術後違和感において有意な差が認められ,スキャンドネストは,他剤と比較して術後違和感が少ない傾向が認められた。以上より,スキャンドネストの麻酔効果は他剤と同等で,持続的観血処置や長時間(30 分以上)の処置を除けば,術後の咬傷などを防ぐ意味でも小児歯科において有用性の高い局所麻酔剤と考えられ,他剤を含めた局所麻酔剤の選択肢が拡大したといえる。

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© 2012 日本小児歯科学会
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