2014 年 68 巻 1 号 p. 2-9
本研究ではCa-Mg-Si系材料をケイ石微粉末と共にセメントに置換し、オートクレーブ(AC)養生を実施した試料について水和反応解析を行い、トバモライトをはじめとしたAC養生後の水和生成物と硫酸塩抵抗性とを関連づけて考察することを目的とした。その結果、オケルマナイトはAC養生下で反応性を示し、Mg型トバモライトやケイ酸カルシウムマグネシウム水和物などの生成に寄与したことがわかった。またXRDによる水和反応解析、FT-IRおよび29Si NMRの結果を総合すると、オケルマナイト置換およびAC養生による耐硫酸塩性向上の要因は、低置換率においてはMg型を含むトバモライトが多量に生成したことにより、高置換率においてはトバモライト構造を維持しつつ、重合度が高いシリケート鎖を有した低C/S比のケイ酸カルシウムマグネシウム水和物等が生成したことによるものと考察した。