本研究は、普通ポルトランドセメントに高炉スラグ微粉末-無水せっこう-石灰石微粉末を用いた高炉セメント系材料について、硫酸塩種および温度条件が硫酸塩劣化機構に及ぼす影響を明らかにすること、さらにエトリンガイトの生成量、生成速度および生成起源に着目して検討することにより、膨張性状の評価を行うことを目的とした。その結果、硫酸塩種によって溶液のpHに差が生じ、水和生成物が変化することで劣化形態が異なるものと考察した。また、単純なエトリンガイト生成量だけでは膨張性状を評価できなかったが、単位週当りのエトリンガイト生成量や、特に生成起源別エトリンガイト量を考慮することによって、膨張性状評価が可能となることが示唆された。