日本農村医学会雑誌
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症例報告
認知症合併糖尿病患者に工夫した治療が有効であった1例
丹村 敏則松岡 哲平西川 菜摘山田 修司大脇 俊宏鈴木 健人田中 創始冨本 茂裕高橋 佳嗣宮本 忠壽
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キーワード: 糖尿病, 認知症, 介護負担
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2015 年 63 巻 5 号 p. 787-791

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抄録
 糖尿病が認知症の発症, 進展に大きく影響すると言われ, また, 今後, 認知症が増加することが予測されている。今回, 認知症合併高齢糖尿病患者であるが, 様々な工夫により, 良好な血糖コントロールが実現し, さらに, 介護者負担軽減を実現することができた症例を経験した。とくに高齢化の進んだ地域での認知症合併糖尿病の医療・介護を進めていく上で参考になると考えられたので報告する。症例は80歳, 女性。倦怠感を主訴に外来受診し, 高血糖 (随時血糖1,096mg/dl) を認め入院。インスリン強化療法で血糖コントロール安定。入院後, 認知症を認めた。糖尿病教育指導でスナック菓子などの間食が消失した。退院後の生活 (独居) を考慮し, 内服薬単独に変更したところ, 300mg/dl以上の高血糖持続。週1回注射タイプGLP-1製剤と内服薬の併用にて良好なコントロールが実現し, 退院。認知症のある高齢糖尿病患者であるが, さまざまな工夫で良好なコントロールと介護者負担軽減が可能になった。
引用文献 (5)
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© 2015 一般社団法人 日本農村医学会
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