2015 年 35 巻 3 号 p. 201-206
【目的】絞扼性イレウスを早期に診断するためには壊死をきたしていない腸管の軽度の血流低下を診断する必要がある。われわれは造影CTを用い,小腸壁CT値(以下,iCT)を上腸間膜静脈CT値(以下,vCT)で補正する方法を考案し,その有用性を検討した。【方法】対象は当科イレウス手術症例のうち治療前に造影CTを施行された絞扼性イレウス(絞扼群)20例と単純性イレウス(単純群)24例。小腸壁の造影効果を客観的に評価するためにiCTとvCT値から小腸壁・SMV造影効果比を算出し,両群間で比較した。【結果】小腸壁・SMV造影効果比は単純群と比較し絞扼群において有意に低値であり,絞扼性イレウスの診断感度0.95,特異度0.83であった。【結論】小腸壁・SMV造影効果比は腸管の血流低下を客観的に評価することを可能とする。