抄録
目的:脳性麻痺患者における脊柱側弯変形は日常生活動作に著しい障害をもたらす.我々は独自に開発した動的脊柱装具(Dynamic Spinal Brace:DSB)を用いた脊柱側弯変形に対する治療の有効性を患者,介護者の状況の変化において検討した.方法:DSB治療中の脳性麻痺患者222 人を対象に,介護者へのアンケート調査および側弯変形のX線計測を行った.結果:アンケートでは日常生活動作において座位・姿勢で80 %以上,介助(移乗,移動)・食事のしやすさは50 %以上で改善を認めた.筋緊張は年齢が18 歳以上の患者において改善を認めた.呼吸・筋緊張は側弯が高度なほど改善を認めた.結論:脳性麻痺患者の脊柱側弯変形に対するDSB治療は患者,介護者の座位・姿勢,介助や食事のしやすさの改善において有効性を認めた.また成長期以降の筋緊張や高度な側弯変形を有する患者の呼吸や筋緊張に対しても有効であると考えられた.