2015 年 40 巻 2 号 p. 251-255
症例は70代男性.2004年12月,当院で盲腸癌に対し回盲部切除術(D3)を施行した(病理:pT3pN0cM0,pStage Ⅱ,Cur A).その後2007年3月より腸閉塞を繰り返していたが,保存的に加療されていた.2007年12月,発熱と筋性防御を伴う右側腹部痛を認め受診.血液検査にて炎症反応高値であり,腹部CT検査にて後腹膜膿瘍を認めた.小腸穿通に伴う限局性腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.術中所見にて回腸に後腹膜への穿通を伴う腫瘍性病変を認めたため,小腸部分切除および洗浄ドレナージを施行.病理組織診断にて,粘液成分を伴う腺癌細胞を認め盲腸癌の小腸再発と診断された.術後補助化学療法を施行するも,2008年11月後腹膜再発をきたし,以後集学的治療を行うも,初回再発手術より5年11カ月後に原病死となった.今回われわれは頻度の低い,大腸癌の孤立性小腸転移の症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.