日本エネルギー学会誌
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地域バイオマス事業の意思決定におけるLCA の有益な活用
兵法 彩本藤 祐樹
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2015 年 94 巻 5 号 p. 515-521

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抄録

本稿の目的は,地域バイオマス事業の導入意思決定においてライフサイクル思考に基づく評価(以下,LCA)の有益な活用方法を議論することである。神奈川県三浦市のバイオマス事業を対象事例として,ドキュメント調査とヒアリング調査を行い,実際の事業化プロセスを明らかにすると共に,事業化プロセスでLCAをいつどのように行うことができるかを考察する。LCAによる環境・社会経済影響評価は,事業化プロセスの間に3回実施可能であると考えられ,それぞれを事前評価,設計評価,事後評価とする。三浦バイオマスプロジェクトでは,事業主体者はいずれの評価も実施しなかったが,事前評価は議会や地域の利害関係者間の合意を得るのに役立つという点で有益であったろうと考えている。LCA による事前評価は,定量的かつ客観的情報を示すことで,地域バイオマス事業の早い段階で,より効果的な事業設計や説明責任を果たすことに資する。そのため今後,地域バイオマス事業の事前評価に関する実用的な方法の開発が必要である。

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© 2015 一般社団法人 日本エネルギー学会
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