2015 年 29 巻 2 号 p. 247-253
症例は79歳,男性.尿濃染を自覚し,血液検査にて黄疸と肝機能障害を指摘された.画像検査所見から下部胆管癌による閉塞性黄疸と診断され, PTBDが施行された.黄疸改善後,膵頭十二指腸切除,PTBD瘻孔部同時切除が施行された.病理組織学的検査では,PTBD瘻孔部に胆管癌着床を認め,術後補助化学療法としてS-1単独療法を施行された.術後18カ月目に,瘻孔切除部近傍の腹壁に腫瘤を認め,穿刺細胞診にてClass Vと判定された.胆管癌の腹壁再発と診断され,Gemcitabine(GEM)+S-1療法を施行された.術後24カ月目に肝再発を指摘され,その後再発巣が増大傾向を示したため,肝動脈化学塞栓療法および腹壁再発巣に対する放射線療法を施行された.術後32カ月経過し,現在,全身状態良好で外来経過観察中である.PTBD瘻孔部に癌着床を認めた場合,異時性の腹膜播種性再発に関して慎重な経過観察を行う必要がある.