本稿の目的は,中国日系企業における中国人従業員の企業観と仕事観を明らかにすることである。研究手法として,中国日系企業,国有企業,私営企業と日本企業に勤める中国人を対象に質問紙調査を行い,以下の二つの仮説を検証した。①日系企業の中国人は,中国企業の中国人よりも集団主義的傾向にある。②日系企業に勤めている中国人は,中国企業の中国人よりもプロセス主義的傾向にある。その結果,中国企業と比べると,日系企業の中国人は情報の共有化の重要度が高く, 報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)が行き渡っていることを示唆していた。日系企業の中国人は,中国企業の中国人よりもプロセス主義的傾向にある。