消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
多彩な形態を示した多発性胃カルチノイドの1例
吉本 均二木 真琴岩切 勝彦澤田 秀雄末岡 伸夫伊藤 敏治香川 隆男平川 恒久小林 正文小嶋 隆行松倉 則夫恩田 昌彦
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1993 年 43 巻 p. 158-162

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抄録

 症例は33歳女性。健診の上部消化管造影で多発性胃隆起性病変を指摘され,精査加療目的で当科入院となった。内視鏡検査で噴門部から胃体部にかけて多彩な形態を示す隆起性病変が認められた。表面凹凸,びらん,発赤を伴う亜有茎性病変が2ヵ所,粘膜下腫瘍様形態のものが1ヵ所,軽度発赤を伴った山田Ⅱ型病変が1ヵ所,表面が周囲の粘膜と同様な山田Ⅰ型病変が3ヵ所認められた。亜有茎性病変など3病変の生検でカルチノイドと診断された。血清ガストリン値は880pg/mlと高値であった。胃全摘術およびリンパ節郭清術を施行した。術前に診断された3病変の他に組織学的検索により5病変,計8病変にカルチノイドが認められた。肉眼的に胃のひだの萎縮は認められなかったが,組織学的には胃底腺領域に萎縮が認められ,A型胃炎の所見であり,更に内分泌微小胞巣が散在性に認められた。4種類の形態を示した多発性胃カルチノイドの1例を経験したので報告する。

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© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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