1993 年 43 巻 p. 231-233
症例は66歳女性。右下腹部痛,持続する微熱を主訴として当科を受診した。注腸造影検査で回盲部結核および盲腸の小隆起性病変を指摘され,精査加療目的で入院した。大腸内視鏡検査では回腸末端部の潰瘍と狭窄,回盲弁の変形,上行結腸から盲腸にかけて小潰瘍が認められた。盲腸には約1cm大の粘膜下腫瘍様病変があり,内視鏡的ポリペクトミーを行った。病理組織学的所見では,粘膜下層にLanghans巨細胞および乾酪壊死が存在し,腸結核による粘膜下腫瘍様病変と診断した。腸結核病変部に炎症性ポリープが認められることはあるが,粘膜下腫瘍様病変が存在し,その内視鏡的ポリペクトミーにより腸結核の確定診断ができた例はまれと考え報告した。