言語文化教育研究
Online ISSN : 2188-9600
ISSN-L : 2188-7802
論文
「チューター史」を振り返り語り合う実践研究の意義
学び合う実践共同体構築に向けて
太田 裕子可児 愛美久本 峻平
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2014 年 12 巻 p. 42-87

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抄録

本研究の目的は,チュータリング実践を省察し他者と共有する実践研究の意義を考察することである。筆者らは,ライティング・センターのチューターとしての個人史(以下,「チューター史」)を省察し共有する実践研究を行った。本稿では,実践研究がチューター個人,およびライティング・センターという実践共同体にとってどのような意義があるかを考察した。その結果,「チューター史」を省察し共有する実践研究は,チューター個人にとって,自分の実践知を省察し,拡充し,実践共同体のより熟達した成員としてのアイデンティティを形成し,実践を捉える視野を広げる手段として,意義があった。また,実践共同体にとって実践研究は,チューターの実践知を蓄積し継承し,実践共同体としての実践を発展させ,学び合う関係を構築し,チューターの学びに影響を与える実践共同体の制度や環境を省察する手段として,意義があった。このことから,実践研究は,学び合う実践共同体を構築する方法として有効であることが示唆された。

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