理科教育学研究
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原著論文
発生気体と析出金属を同時に計測できる自作簡易装置によるニッケルめっき反応の検討
那須 悦代喜多 雅一
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2015 年 56 巻 2 号 p. 183-190

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抄録

2011年以降の高校化学教科書には発展的内容として標準電極電位が導入されたが, 高校教員自身が大学で電気化学を選択履修していないケースも多く, 電極反応の条件を高校生に指導するには実験教材の開発と指導法の工夫が必要である。しかし, 1950年代から現在までの高校化学の教科書の電極反応に関する記述を調査したところ, 電気分解実験で扱われる溶液は水や塩化銅(Ⅱ)溶液に限られており, それぞれの電極で気体発生のみか金属析出のみを観察することになる。
今回開発したペットボトルとプラスチック注射器等の簡便な実験装置は, 金属析出量と気体発生量を同時に測定可能で, ニッケルめっき(電気分解)の陰極は水素発生とニッケル析出が競合して起こる。得られた結果から. 電極反応の起こりやすさが標準電極電位と溶液濃度によって大きく変化する活用例となり, および水素発生量を減らしニッケル析出量を多くするニッケルイオン濃度を明らかにした。

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© 2015 一般社団法人 日本理科教育学会
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