熊本県の白川中流域の水田で涵養される地下水は下流域住民およそ100万人に利用されている.本研究は, 灌漑期の水文観測から白川中流域水田の水管理と水収支構造を明らかにした.調査対象の水田では, 地下浸透能は約30 mm/dであり, 普通期の総用水量は約4,000 mmであった.灌漑は掛け流しで行われ, 取水量の3割は排水となっていた.本調査水田では, 水収支において, 用水量, 排水量, 浸透量の寄与する割合が高かった.一方, 用水の硝酸態窒素濃度はおよそ0.5 mg/Lであるが, 水田においてはほとんど検出されず, 水田の窒素除去機能が確認された.