心臓
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一般演題
切除不能な心臓腫瘍に関連した心室頻拍を開胸下凍結凝固により抑制しえたGorlin症候群の1例—病理学的見地も踏まえて—
林 洋史村田 広茂宮内 靖史林 明聡岩崎 雄樹淀川 顕司高橋 健太植竹 俊介坪井 一平清水 渉新田 隆坂本 俊一郎藤井 正大功刀 しのぶ青沼 和隆林 英守関田 学
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2014 年 46 巻 SUPPL.3 号 p. S3_258-S3_263

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抄録

 症例は15歳, 男性. Gorlin症候群 (基底細胞癌, 心臓腫瘍) に合併した心室頻拍 (VT) の頻回発作を認め, アミオダロン内服, アブレーション施行するも抑制できず, 手術目的に当院転院した. 術前心内膜マッピングでは, 左室後壁に腫瘍浸潤に一致する18cm2の広範囲の低電位領域を認め, その辺縁では全周性に遅延電位が記録された. プログラム刺激により誘発されたVTは2種類. VT#1 (RBBB, 左軸偏位, CL300ms) は, 低電位領域の後中隔側で, VT#2 (RBBB, 右軸偏位, CL300ms) は後側壁側でpace mapが近似した. 開胸下心外膜マッピングでも低電位領域辺縁を最早期とする多種類のVTが誘発され, 腫瘍切除が困難であったため腫瘍を隔離するように凍結凝固し頻拍を抑制しえた. 低電位領域辺縁の病理では線維腫の浸潤と心筋の錯綜配列様構造異常を認め, これが本頻拍の不整脈基質である可能性が示唆された.

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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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