都市計画論文集
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ドイツのエアランゲン市における太陽光発電の設置動向とその影響要因に関する研究
辻田 百合菜客野 尚志
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 50 巻 3 号 p. 844-850

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抄録

本稿では、ドイツ・バイエルン州エアランゲン市の事例をもとに太陽光発電装置の設置に関して、2000年に施行された再生可能エネルギー法を踏まえ、FIT制度が太陽光発電装置の設置に与えた影響を、FIT価格の改変との関係から分析した。また、GISを用いて設置箇所の分布を確認し、特に開発地域、旧市街地、公共ゾーンへの設置と、建物の用途などとの関係について分析を行った。その結果、FIT価格の改変により、特に小規模での設置がかけこみ需要として促進されたが、2012年4月の改変により価格の削減が毎月行われるようになると、大きなかけこみラッシュは確認されず、設置量も減少していった。ここから、FIT価格の改正において、段階的に価格を下げるよりも、頻度を減らし、大きく下げる方が太陽光発電の市場に影響を与えることがわかった。また、太陽光発電設置の促進、抑制に関して、景観規制やFIT制度の設置箇所による価格差および買取規制が旧市街地への設置や、地面設置型システムの抑制につながった一方、不動産会社や地域の開発と共に太陽光発電の設置が行われるケース、地域のNGOが先頭になって学校への設置を行ったケースが見られた。

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© 2015 公益社団法人 日本都市計画学会
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