抄録
目的 : 日本国内で診察時間を扱った研究がどのような報告をしているかを明らかにするために文献の検討を行った.
方法 : 医学中央雑誌, CiNii, JMEDPlus, Google Scholar, MEDLINEを用いて, 日本国内で具体的に診察時間を測定している研究の論文を抽出し, 診察時間・診療時間に関する記述をまとめた.
結果 : 26の文献が該当した. この中で診察時間を研究の中心のテーマとしたものは6件のみで, 7件は待ち時間が主な調査項目で外来診察時間は副次的な調査項目であった. 電子カルテ導入や医療秘書導入など外来診療へ何らかの介入をした際の影響を評価する一指標として診察時間を使用した研究があった. 適切な診察時間について考察していたのは3件であった. 2件が患者満足度をアウトカムに用いていた. 診察時間の定義は研究によって異なっていた.
結果 : 患者アウトカムを調査した研究は少なかった. 今後, 診察時間の定義を明確にした上で, 測定された診察時間と患者アウトカムを関連づけた研究が必要である.