日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
臨床報告
非代償性肝硬変の難治性腹水に茵蔯蒿湯合五苓散料が奏効した一例
角藤 裕清水 元気山岡 傳一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 66 巻 4 号 p. 337-341

詳細
抄録
B 型肝炎に伴う非代償性肝硬変により生じた治療抵抗性の腹水に対し茵蔯蒿湯と五苓散料が奏効した一例を経験した。症例は58歳女性。B 型慢性肝炎と糖尿病を無治療で放置しており,外傷に伴う頸部痛で受診した際に黄疸と腹水を指摘され入院した。フロセミドやスピロノラクトンといった利尿薬の効果に乏しく,アルブミン補充でも腹水のコントロールが不良であったが,茵蔯蒿湯合五苓散料を煎薬にて投与したところ1ヵ月余りの間に速やかに改善した。茵蔯五苓散料(煎薬)あるいは五苓散エキスと比較し明らかに効果があったと思われ,特に山梔子や大黄の作用が重要であったと考えられた。
引用文献 (13)
著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top