農作業研究
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研究論文
ワケギ球根の植付けに対応した簡易移植機による作業性の改善
川口 岳芳南田 秀樹川本 靖信佐藤 彩佳尾崎 行生
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キーワード: ワケギ, 球根, 軽労, 機械, 定植
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2015 年 50 巻 4 号 p. 91-101

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抄録

ワケギの球根の植付けは,一球ずつ中腰・手作業で行うため身体への負担が多大である.筆者らは,これまでワケギ球根の植付けが可能な簡易移植機とこれを利用した球根の植付方法を開発した.本報では開発した球根対応簡易移植機による植付時の作業時間,作業姿勢および自覚的運動強度に及ぼす影響を調査し,ワケギ球根の生育に及ぼす影響を明らかにすることで,作業性および栽培の面から実用性を評価した.OWAS法による作業評価において,手作業では “できるだけ早期に改善すべき姿勢(AC3)”が90%以上を占めたのに対し,本機を用いると“改善不要(AC1)”および“近いうちに改善すべき姿勢(AC2)”が90%以上を占め,作業姿勢の改善効果がみられた.修正Borg Scaleに基づく作業終了時の自覚的運動強度の主観評価は,手作業では腰が5.7~7.7,腿が3.3~8.8および膝が1.3~5.7であったのに対し,本機では腿が0.7,膝が0.3および脹脛が1.0となり大幅な軽労化効果が得られた.植付作業時間は大幅に短縮されたが,準備作業を含めた作業時間全体としては短縮効果が認められなかった.この対策として全体の59~83%を占める連結紙筒への球根の装填作業の効率化を図る必要があると考えられた.本機で植付けた球根の萌芽日,発根,栽培期間中および収穫時の生育は,慣行の手作業で植付けた球根と同等であった.

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© 2015 日本農作業学会
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