抄録
[目的]大動脈弁置換術におけるContinuous Suture Techniqueの手技の紹介と,手術を安全に行うための留意点について考察した.[対象・方法]2010年12月から2012年10月までに同一術者により行われた大動脈弁置換術のなかで弁口面積1.0 cm2 以下の重症大動脈弁狭窄症連続13例を対象とした.弁置換術はすべて3本のポリプロピレン糸を用いて連続縫合で行った.術前後に経胸壁心臓超音波検査を行い弁機能,弁形態の変化を比較した.[結果]術前の大動脈弁輪径は平均21.7 mmで,挿入弁サイズは平均23.3 mmだった.術前心臓超音波で計測した大動脈弁輪径が19 mm以下であった2例も21 mmの人工弁を挿入することができた.手術時間,人工心肺時間,大動脈遮断時間を短縮することができ,術後超音波検査で弁周囲リークや人工弁機能不全を認めず,術後合併症もなかった.[結語]連続縫合で弁縫着を行うContinuous Suture Techniqueによって大動脈弁置換術の手術時間を短縮させ,かつ安全に施行でき,より大きな弁サイズを挿入できる可能性がある.