日本臨床外科学会雑誌
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症例
腸管逆回転症に発症した胃癌の1例
下田 陽太関川 浩司山崎 将人太田 竜成田 和広小根山 正貴
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2015 年 76 巻 10 号 p. 2438-2444

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抄録

症例は74歳,男性.上腹部痛を主訴に近医を受診し,胃癌を認めたため当科紹介受診となった.腹部CT検査所見上,上腸間膜動脈が十二指腸水平部の背側を走行し,多脾症と膵低形成を認めた.CT colonography所見上,大腸は腹腔内の右側に位置し,上行結腸と下行結腸の位置が逆転していた.血管構築では下腸間膜動脈と胃十二指腸動脈が欠損し,総肝動脈が上腸間膜動脈より分岐していた.以上の所見より,腸管逆回転症に発症した胃癌の診断で胃全摘,D2郭清,Roux-Y再建を施行した.患者は術後18日目に退院した.画像検査の発達した現在では,従来の造影検査以外にも有用な検査が多いため,術前より詳細な検討が可能であった.本症例においては消化管造影やCT検査以外に,CT colonographyが腸管逆回転症の診断に有用であり,またCT angiographyが血管の走行を把握する上で有用であった.

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© 2015 日本臨床外科学会
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