除菌後に発見された広義の「除菌後胃癌」には,除菌前後から既に存在していた病変が遅れて発見されたものが少なくない.われわれは,除菌後発見胃癌の中には,内視鏡診断が難しい病変があるため注意深い観察が必要であることを強調してきた.特に,病変の最表層に非腫瘍性上皮や表層分化した癌腺管が存在した場合,narrow-band imaging(NBI)拡大内視鏡では,最表層部を詳細に捉えるため,胃炎粘膜に類似し不整に乏しい表面微細構造が観察される.除菌後は,背景粘膜に加えて病変自体も修飾を受けるため,先進的診断内視鏡を併用して,背景粘膜の評価と早期胃癌の正確な診断が必要である.