肺癌
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原著
本邦における肺癌臨床研究の論文化の現況
越智 宣昭本多 宣裕山根 弘路梅村 茂樹堀田 勝幸谷本 光音木浦 勝行瀧川 奈義夫
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キーワード: 肺癌, 臨床試験, 登録
ジャーナル オープンアクセス

2015 年 55 巻 7 号 p. 1070-1074

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抄録

目的.UMIN臨床試験登録システム(UMIN-CTR)は,臨床試験の公的なデータベースのひとつであり,論文投稿時には登録されていることが要求されている.UMIN-CTRを用いて,本邦の肺癌臨床試験における論文化の現況を検討する.方法.2005年10月までにUMIN-CTRに登録された原発性肺癌の治療に関する48の試験について,2014年12月での論文化の有無を,その登録情報およびPubMedにて検索した.結果.試験結果の論文化は全体で31試験(64.6%)であり,そのうち“positive study”は16試験,“negative study”は15試験であった.設定症例数100例以上とそれ未満の研究の論文化割合は66.7%(10/15)と63.6%(21/33)で,差は認められなかった.UMIN-CTRへの登録時点で解析終了予定日が入力済の試験では,論文化された割合が有意に高かった(84.2% vs 51.4%,p=0.021).結論.“negative study”も含め約2/3が論文化されており,UMIN-CTRは臨床試験登録システムとしてその機能を果たしていると考えられる.

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© 2015 日本肺癌学会
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