2016 年 72 巻 1 号 p. 206-219
鋼床版溶接部の疲労損傷において,本研究は閉断面縦リブとデッキプレートとの溶接部に発生する疲労き裂を対象としている.対象の疲労き裂検出に特化したフェーズドアレイ超音波探傷システムを構築することが目的である.フェーズドアレイ超音波探傷は可変角で入射波を送信したり,任意の点に入射波を収束させることができる.1素子ごとの送受信の組み合わせで波形を収録し,コンピュータ上でソフト的に収束を再現する方法も検討されている.両探傷法でスリットを有する試験片による実験を行い,開口合成による画像化手法を構築した.疲労試験および探傷試験を行い,疲労き裂の検出性能を調べた.1素子ごとの送受信で波形を収録し,ソフト上で重ね合わせる方法のほうが精度が高く,デッキ進展き裂でき裂高さ2~3mmから検出できるという結果が得られた.