土木学会論文集A2(応用力学)
Online ISSN : 2185-4661
ISSN-L : 2185-4661
応用力学論文集Vol.18(特集)
各種観測更新アルゴリズムによる事後確率分布の推定
珠玖 隆行吉田 郁政山本 真哉田中 耕司藤澤 和謙野村 泰稔
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2015 年 71 巻 2 号 p. I_59-I_70

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抄録

本研究では,既存の観測更新アルゴリズムの信頼性評価への適用性について,事後確率分布の推定精度に着目し検討している.代表的な観測更新アルゴリズムとしてParticle Filter (PF),Ensemble Kalman Filter (EnKF),Gaussian Mixture Filter (GMF),Merging Particle Filter (MPF),Markov Chain Monte Carlo (MCMC) method,Iterative Particle Filter with Gaussian Mixture Model (IPFGMM)に着目し,各アルゴリズムを2自由度せん断モデルにおける層剛性の事後確率分布推定問題に適用した.事後確率分布が単峰性および多峰性を示す2ケースの条件を設定し,事後確率分布の理論解と各アルゴリズムによる推定結果を比較した.事後分布が単峰性の場合,ほとんどの観測更新アルゴリズムで事後確率分布を精度よく推定できることを確認した.しかしながらEnKFでは,事後確率分布が単峰性であっても正規分布に従わない場合には推定精度が低いことが明らかとなった.EnKFやMPFでは多峰性を示す事後確率分布を推定することができないが,PF,GMF,MCMC,IPFGMMでは精度よく推定可能であり,その中でもIPFGMMが最も計算効率が高いことが明らかとなった.1回のシミュレーションの計算負荷が小さく多数のサンプルが確保できる問題であれば,実装の容易さからもPFを用いることが推奨されるが,少ないサンプル数で精度よく事後分布を推定したい場合は,計算手続きは増えるもののIPFGMMが推奨される.

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© 2015 公益社団法人 土木学会
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